電動アシスト自転車は思ったより速くない?「24km/h」に隠された真実と安全性の秘密

電動アシスト自転車と普通の自転車、果たしてどちらが速いのか?

「電動アシスト付きなんだから、きっと速いに違いない」
その期待とは裏腹に、「多くのシニア層がゆったりと乗っている姿を見ると、想像ほど速くないのかも?」という疑問も。

この矛盾する印象こそ、電動アシスト自転車の本質を理解する第一歩です。

しかし、こんな経験はありませんか?商品画像だけを見て購入したはいいものの、実際に使ってみると期待はずれだった――。

移動手段の選択は、単なる一時の買い物ではなく、長期的な投資。見た目の印象だけで、後悔するような決断は避けたいものです。

本記事では、速度、重量、アシストの仕組みといった核心から、知っておくべき注意点までを徹底解説。あなたの生活にぴったりの一台を見極めるための、確かな判断材料をお届けします。

1. 速度の真実:法律が決めた「24km/h」の壁

「電動アシスト付きなんだから、もっと速いんじゃないの?」
そう思われるかもしれません。しかし、実際の平均速度は、一般的なママチャリとそう変わらないことが多いのです。

  • 平均速度の比較

    • ママチャリ: 時速約12~15km

    • 電動アシスト自転車: 時速約10~17km

この数字の背景には、日本の「道路交通法」 が深く関わっています。実は、電動アシスト自転車のアシストが働く上限速度は 24km/h と法律で定められているのです。

これがどういうことか、走行シーンごとに見ていきましょう。

  • 発進・低速時: アシスト効果が非常に強く、坂道でも楽にスタートできます。

  • 速度上昇に伴い: アシスト力は少しずつ弱まっていきます。

  • 時速24km/hに達すると: モーターのアシストは完全にカットされ、それ以降はご自身の脚力だけでペダルを漕ぐ必要があります

つまり、時速24km/h以上で走ることは可能ですが、それは純粋な自転車と同じ。アシスト自転車の真のメリットは「速さ」ではなく、「楽に一定の速度を維持できる」 点にあると言えるでしょう。

2. 重量の真実:「重い」を「強いアシスト」が帳消しにする

電動アシスト自転車は、モーターやバッテリーなどの部品が追加されるため、一般的な自転車よりも重量があります。

  • 平均車体重量の比較

    • 電動アシスト自転車: 約26kg ~ 35kg

    • ママチャリ: 約16kg ~ 25kg

一見、「重いのに坂道や発進が楽」というのは矛盾しているように思えるかもしれません。しかし、ここにこそ電動アシストの真価が隠れています。

確かに、アシストがオフの状態では、この重量を自身の脚力だけで動かすのは非常に重く、加速が困難です。

しかし、アシスト機能が作動すれば、この重い車体をモーターが強力にサポート。重さを感じさせず、むしろ安定した走行を実現してくれるのです。つまり、「重い」という物理的なデメリットを、「強いアシスト」が帳消しにしてくれるのが、優れた電動アシスト自転車の特徴なのです。

3. アシスト力の核心:必要な時こそ、最大の味方

電動アシスト自転車の「アシスト力」は、速度によってスマートに変化します。

  • 時速約10km/h以下(発進・低速時): あなたの踏み込む力を約2倍にまで増幅してサポート。重い車体や荷物があっても、驚くほど軽いペダル感覚でスムーズにスタートできます。

  • 時速10km/hを超え、24km/hに近づくにつれて: アシスト力はなだらかに減少していきます。

  • 時速24km/hに達すると: モーターによるアシストはゼロになります。

この仕組みの最大の利点は、「いちばん力が必要なときこそ、最大のサポートを得られる」 こと。重い車体によるデメリットは低速時にこそ顕著になりますが、まさにその瞬間に、アシスト機能がそれを帳消しにしてくれる強力な味方になってくれるのです。

平均速度10~17km/hで走行する場合、そのアシスト効果は自転車の1~2倍。つまり、感じる疲労は1/2~2/3に軽減され、ペダル半回転の力で、1~1.5回転分の推進力が得られることになります。

4. 安全に楽しむための、2つの注意点

1. 発進時は「思っている以上に軽い」
ママチャリと同じ感覚でペダルを漕ぎ出すと、強力なアシストが即座に働き、「思ったより勢いよく進み出す」 ことがあります。身体がそれに対応できず、ふらついてしまう原因になりかねません。

【安全のコツ】
まずはローギアでスタートし、半回転ほど軽く漕いでみて、その軽さを体感することから始めましょう。

2. バッテリー切れには十分ご注意を
電動アシスト自転車は、バッテリーが命。走行中にバッテリーが切れてしまうと、重い車体を自身の脚力だけで漕がなければならず、それはもはや “非常に重いママチャリ” を運転しているような状態です。

【安心のコツ】

  • 習慣的な充電: 使用後はこまめに充電する習慣をつけましょう。

  • こまめな確認: 搭載されている液晶ディスプレイで残量を常に把握。特に長距離を走る予定がある日は、出発前の充電を心がけ、余裕を持った計画を立てることが快適なライドの秘訣です。

まとめ:ご自身にぴったりの一台を見つけるために

電動アシスト自転車の真の価値は、「速さ」ではなく、「楽さ」と「安心」にあります。

  • 速度面: 平均速度はママチャリと同程度。法律でアシストの上限が時速24kmと定められています。

  • アシスト機能: 一番力が必要な発進時・低速時に最大2倍の力でサポートし、身体への負担を大きく軽減します。

  • 選ぶ基準:

    • ママチャリは、「運動効率を重視し、軽快な走りを求める」方に。

    • 電動アシスト自転車は、「身体への負担を減らし、坂道や重い荷物にも安心を求める」方に。

通勤に使う方へ:朝の忙しい時間帯の向かい風や、少しの遅刻も気になる時、アシスト機能が心身の余裕を生み出します。
子育てママへ:重い荷物と子どもを乗せての移動は、まさにアシスト自転車が本領を発揮する場面。安全性と安定性が、毎日の負担を軽減します。
シニアの方へ:体力に自信がなくても、アシストがあれば買い物やお出かけがぐんと楽に。無理のない運動としても最適です。

ご自身の日常の使い道と求める走行体験をよく考え、あなたに最適な一台を見つけてください。気になった方は、まずはお近くの店頭で試乗体験をしてみてください。その「軽さ」と「安心感」は、きっとあなたの期待を上回るはずです。